リスクサイン
乳腺炎
・リスク1:乳房全体の腫脹.
・リスク2:乳房の部分的硬結、発赤、疼痛.発熱.
・リスク3:なし.
乳汁分泌不全
・リスク1:扁平乳頭.陥没乳頭.衰弱.分娩時の大出血.
・リスク2:児体重の増加不良.
・リスク3:なし.
乳腺炎
授乳期にみられる乳腺炎は、乳汁排泄障害により発症するうっ滞性乳腺炎と乳頭から細菌が感染する化膿性乳腺炎がある。
- うっ滞性乳腺炎
- 発症時期
乳汁分泌が盛んになる産褥3〜5日頃に好発する。
- 症状
乳汁がうっ滞し、乳房全体の腫脹、硬結、発赤、疼痛が出現する。腋窩リンパ節が腫大することがある。腋下体温のみ高値で、口腔内温は正常である。
- 治療
乳房マッサージにより乳管の開通をはかり、哺乳と搾乳により十分乳汁を排出させる。消炎鎮痛剤は局所の循環を改善し、乳房の腫脹を軽減させるが、乳汁が改善すれば、予防投与する必要はない。
- 化膿性乳腺炎
- 発症時期
産褥1週間以降、2〜6週に多い。
- 起炎菌と感染経路
起炎菌には黄色、白色ブドウ球菌などが多く、手指を通じ、乳頭の亀裂など微細な損傷部分から侵入し化膿性炎症をきたす。
- 症状
乳房の一部に熱感、硬結、発赤、疼痛が出現し、しばしば腋窩リンパ節が腫大する。炎症が進むと悪寒、発熱(39℃以上)をきたし、病巣に膿瘍が形成される。
- 治療
哺乳を中止し、提乳帯を施し乳房上に冷湿布をする。乳房マッサージは避け、乳頭を軽く圧して膿を排出する。抗生物質、消炎鎮痛剤はできるだけ早期から投与し、炎症の拡大を防ぐ。改善しない場合は、膿瘍を切開排膿する。ブロモクリプチン(パーロデル)を1〜2錠使用し、一時的に乳汁分泌を抑制する方法も効果的とされる。