リスクサイン
リスク1:腟炎(細菌性腟症).腟分泌物増加.
リスク2:絨毛膜羊膜炎.破水感.
リスク3:臍帯脱出.
病態生理
規則正しい陣痛が発来する前に卵膜が破綻し、羊水が子宮外に流出した場合を前期破水(premature rupture of membrane: PROM)いう。妊娠37週未満の場合はpreterm PROMと呼ばれる。絨毛膜羊膜炎など感染、あるいは炎症により卵膜が脆弱になることが主因と考えられている。羊膜脆弱化の直接の原因は膜中のコラーゲンの分解、減少による。
また、絨毛膜羊膜炎は頸管の組織プロスタグランディン産生を亢進させ、子宮収縮をおこす。子宮収縮は子宮内圧を増加させ、子宮口の開大とともに破水をひきおこす。
症状
羊水流出感。卵膜の裂傷部位が子宮口付近であれば、羊水流出に引き続き陣痛がはじまる。しかし、子宮口から離れた子宮の高い場所に裂傷が生じると(高位破水)、陣痛開始までに数日から数週間を要する。破水後は、腟内の細菌が卵膜の裂傷から上昇し(上行感染)、子宮内感染をきたす可能性がある。
治療・管理
破水と診断されればいかなる時期であっても入院管理する。妊娠35週未満であれば、妊娠期間の延長をはかる。妊娠35週以降であれば、24時間待機し、陣痛が発来しない場合は分娩誘発する。
妊娠35週未満の場合、感染対策としてペニシリン系、セフェム系の抗生物質を予防投与し、子宮収縮がある場合は子宮収縮抑制剤を使用する。ただし、母体発熱、白血球増加など感染徴候が出現するか、胎児ジストレスがある場合は帝王切開などにより急速遂娩とする。