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>TOP>情報コーナー「周産期看護マニュアル」top>妊娠中期>胎児奇形 「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」
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病名(頻度) |
症状、特徴 |
ダウン症(18トリソミー) |
男児に多い |
18トリソミー |
女児に多い |
13トリソミー |
女児に多い |
ターナー症候群 |
性染色体のX染色体の完全もしくは部分的欠損(45XO) |
クラインフェルター症候群 |
2個以上のX染色体と1個以上のY染色体(47XXY) |
注:トリソミーとは、染色体異常のうち2本で1対となるべき相同染色体が1本多いものの総称。
超音波検査、X線検査、MRI(核磁気共鳴画像)などによる形態観察で診断する。場合によっては子宮腔内(羊水中)に造影剤を投与する胎表造影や羊水染色体検査、DNA診断など侵襲性のある検査が必要になる。
- 先天性心疾患
超音波検査により大部分の心奇形が出生前診断される(表4)。
- 心臓腫瘍
結節性硬化症に合併する横紋筋腫が最も多い。
- 無心体
一卵性双胎の1児で心臓が欠損したもの。正常な児からの血管吻合により胎内では生存できる。
- 先天性嚢胞状腺腫様肺奇形
気管支末端の異常増殖により、片側かつ一つの肺葉に嚢胞を生じる。羊水過多を伴う。
- 食道閉鎖
食道上部が盲端となり、食道下部と気管に瘻孔のあるものが多い。18トリソミ−、21トリソミ−など染色体異常、心奇形に合併することが多い。超音波検査で妊娠中期の羊水過多と胃胞の消失が診断の手がかりとなる。
- 先天性横隔膜ヘルニア
横隔膜の欠損により腸管、肝臓など腹腔内臓器が胸腔内に嵌入した状態。早期に発生したものほど、肺の成熟を妨げ予後が不良である。出生後、人工換気と緊急手術を要し、死亡率は50%に達する。
- 臍帯ヘルニア
腹壁の欠損が臍帯付着部にあり、腸管、肝臓、脾臓などが臍帯起始部に嵌入するもの。13トリソミ−、18トリソミ−など染色体異常や心奇形などとの合併頻度が高い。男女比は3:2で、手術的に整復するが、感染症などにより死亡率は30%にのぼる。
- 腹壁破裂
腹壁全層に欠損があり、腸管が直接羊水中に脱出した状態。
- 十二指腸閉鎖
超音波検査によるダブルバブルサイン(腹部の拡張した二つの嚢胞)が特徴的。食道閉鎖同様、胎児が羊水を嚥下・吸収できず約50%に羊水過多を伴う。
- 空腸・回腸閉鎖
嚥下された羊水が閉塞部までの腸管で吸収、代謝されるため、食道、十二指腸などの上部消化管閉塞に比べ症状が少ない。ときに閉塞部付近の消化管に穿孔をきたし、胎便性腹膜炎を発症し発見されることもある。
- 巨大結腸症
- 鎖肛
- 卵巣嚢腫
女児の下腹部に円形の嚢腫として確認される。母体のエストロゲンに反応し増大することが多く、2 cm以下のものであれば出生後ほとんど消失する。
- 尿路閉鎖
超音波検査で腎盂の拡張(1 cm以上)があれば本症を疑う。羊水過少を伴う場合は肺の低形成を生じる可能性がある。羊水量が正常であれば緊急性は少ない。
- 嚢胞性腎奇形
- ポッタ− I 型
常染色体劣性遺伝で致死的。両側性に腫大した腎臓を認め、羊水過少をきたす。- ポッタ−II 型
片側性のことが多く、大小不同の多数の嚢胞をみとめる。
- 腎無形成
両側性の場合ポッタ−症候群と呼ばれ、羊水過少および子宮内胎児発育遅延を伴い、子宮内胎児死亡あるいは新生児死亡をおこす。
- 多指(趾)症
性差はなく、他の奇形を合併しやすい。生後1年前後で手術を行なう。
- 合指(趾)症
多くは常染色体優性遺伝で、合指症では男女比は2:1だが、合趾症では性差はない。生後1年前後で手術するが、変形の強くなる恐れがあるものは早期に行なう。
- 欠指(趾)症
- 短肢症
- 軟骨無発生症候群
常染色体劣性遺伝で、躯幹、四肢とも短い。羊水過多を伴うことが多く、致死性である。- 致死性異形成症
常染色体優性遺伝で、超音波検査で強度の四肢短縮、頭蓋のクローバー様変化、胸郭低形成、大腿骨のテレフォンレシーバー様変化が特徴。
- あざらし肢症
四肢長管骨の先天性欠損、サリドマイドとの因果関係が推察されるが確証はない。