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>TOP>情報コーナー「周産期看護マニュアル」top>新生児>新生児仮死 「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」
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新生児仮死は出生時における新生児の呼吸循環不全を主徴とする症候群である。胎児期および分娩中に生じた低酸素血症に起因することが多く、全分娩の2〜9%に発生する。誘因となる基礎疾患は多岐にわたる(表2)。
新生児仮死は胎児ジストレスに引き続き発症することが多い。高度な胎児ジストレスでは胎児の血中および組織中の酸素分圧は低下し、代謝性アシドーシスが進行する(p 参照)。こうした状態で出生した児は、自発的に呼吸できないことがある。しかし、多くの場合、皮膚刺激により呼吸を開始する(第1度無呼吸)。仮死の状態が重篤な児では、皮膚刺激だけでは呼吸は開始せず、人工呼吸を要する(第2度無呼吸)。
表2 新生児仮死のリスク因子
母体因子 |
偶発合併症(心疾患、腎疾患、糖尿病など) |
妊娠・分娩因子 |
妊娠高血圧症候群 |
胎児因子 |
胎児ジストレス |
本邦では、生後1分、5分のアプガースコアを評価し、4〜6点が軽度仮死(第1度新生児仮死)、3点以下は重症仮死(第2度新生児仮死)としている。
しかし、アプガースコアのみによる評価では、その後の新生児予後との関連性が低いことから、アメリカ産婦人科学会では以下の診断基準を提唱し、新生児仮死がその後の神経発達障害と密接に関連する病態と定義している。
以下の4つの状態を満たしたものを新生児仮死としている。
- 臍帯動脈血で高度の代謝性アシドーシス(pH < 7.00)。
- 出生5分後アプガースコア3点以下。
- 新生児早期から痙攣、筋緊張低下、昏睡、低酸素脳症など神経症状が出現する。
- 新生児早期より多臓器不全の症状を示す。
- 第1度新生児仮死
- 保温(ラジアントウォーマーなど保温装置下で処置を行なう)。
- 気道内吸引。
- 知覚反射を介して(皮膚刺激など)自発呼吸を誘発。
- 用手換気(マスク、バッグ)。
- 第2度新生児仮死
- 喉頭鏡を用いて直視下に気道吸引する。
- 気管内挿管による酸素投与。
- アシドーシスの補正
- 仮死蘇生後の管理
仮死蘇生術により児の状態が安定すれば、新生児集中治療室(NICU)に収容しその後の管理を行なう。神経学的発達については長期フォローが必要になる。